JIMC 通信 2012年10月10日発行 第2号 日本インバウンド・メディア・コンソーシアム(JIMC)より、各種最新情報を お届けします。 *********************************** 1 JIMCからのお知らせ ・ 上海レポート:日本でも中国でも報道されない個人旅行者の実態 2 JIMC会員入会のご案内 3 インバウンド媒体パッケージプランのご案内 *********************************** =================================== 1 JIMCからのお知らせ by「日本之窓」阿部道広 =================================== 9月6日に第一報のレポートを書いてから早くも1ヶ月がたちました。前回は尖 閣諸島国有化への中国政府の強い警戒感を根拠に楽観視できないことを伝えま したが、事態は日本の多くの人が予想した以上の展開となり、40周年記念行事 の多くが中止(延期)され、日中両国の関係は大きく悪化してしまいました。 ● 国慶節の団体ツアーへの影響は甚大 すでに申し込みがいっぱいになっていた国慶節時期の中国人の団体ツアーは キャンセルが相次ぎ、銀座や心斎橋など通常なら大型バスが数珠つなぎになる 地区も、今回は全く盛り上がりませんでした。それでも訪日しているグループ があった点はせめてもの救いではあります。団体ツアーの詳細については、多 くの情報が発信されると思われますので、ここでは割愛いたします。 ● 訪日個人旅行者は国慶節にどう動いたか? これだけの団体ツアーのキャンセルがある中、個人顧客の動きはどうだったの かと多くの方々から聞かれます。前回のレポートでは「個人顧客が中心の弊社 の訪日旅行部門では、当面は『伸びの勢いが鈍ったようだ』という程度」と書 きましたが、実際の数字も大きな落ち込みはありませんでした。 国慶節時期の中国国内旅行市場は対前年比23%UPと旅行ブームの中では見劣り するものの、通常月と同じ程度の売上げとなり、尖閣諸島を国有化した 9月11日、反日(抗日)記念日の18日のいずれも、通常月と同程度でした。 ● 個人旅行者が訪日カウンターに殺到! 国慶節を間近に控えた24日、弊社(日本之窓)の売上は過去最高を記録しまし た。接客カウンターにはかつてないほどの行列ができ、廊下まで伸びるほどの 長い列となりました。すでに訪日を決めてビザを取得していたものの、日中関 係の悪化を懸念して静観していた人たちが、事態の沈静化を見て直前に手配を するために訪れたためでした。 こうした実態は、日本のメディアだけでなく中国のメディアも取り上げません が、中国には「いろいろな人」がおり、強烈な反日思想を持っている人はごく 一部に限られることが読み取れます。個人旅行者の出国は政府の規制を受けに くいため、中国人の民意を知るよいバロメーターになります。 ● 車は売れないが、旅行は売れる!? 日本車の販売数や現地生産数が半減、という影響が出ていることがマスコミで 報道されています。とはいえ、中国人全員が本気で日本をボイコットしようと していると考えるのは早計であり、事実とは異なります。けれども一方で、日 本ブランドという理由で自分の車が破壊されてしまうかもしれないリスクを考 えると、日本は憎くなくても日本車は買いにくくなるものです(それも大げさ な話ではありますが)。 それに対して、日本に旅行することで失うものはありません。あえていうなら ば「身の危険」でしょうか。実際、震災後には放射能を恐れて個人客はピタリ と止まりました。しかし、この尖閣問題では個人の訪日の動きは止っていませ ん。弊社の上海の職員は、日系企業が大騒ぎしている間も、いつもと変わらな い表情で仕事をしていました。 中国を考える際には、「国は国、個人は個人」という国民性を理解する必要が あります。同じく領土問題を有する韓国とはその点が大きく異なります。 ● 偏ったメディアの報道 中国は必ずしも反日一色ではない、という報道も最近では見られるようになり ましたが、その露出は少なく、多くの人は暴動で破壊された工場や店舗の無残 なイメージだけを持っています。破壊行為を受けて意気消沈していたように見 えたイオンが中国国内で2015年までに9店舗の出店の計画を続行すると発表し たニュースもありましたが、とても小さな扱いでした。 中国のメディアは中国の主張ばかりを繰り返し、中国国内にさまざまな声があ ることはほとんど報道していません。しかし、中国国民はメディアの報道を鵜 呑みにしない傾向にあるため、独自に情報を集めようという人が多くいます。 一方、日本のメディアも同じく、中国の立場の報道はあまり見られず、結果的 にはデモの報道ばかりだったために、中国の反日意識ばかりを際立たせてしっ たようです。そんな中で私が危惧するのは、日本ではメディアの報道から受け た印象を鵜呑みにする傾向があるという点です。 ● 中国マーケットの内在リスク 今回の一連の状況で、中国が訪日観光客の誘致市場としての魅力を失墜したと 見ている人は多いでしょう。早々に中国関連の事業を中止したという話や、東 南アジアに舵を切ろうかという意見も耳にします。 事態が沈静化したとしても、中国との間にはまた、いずれ何らかの問題は生じ るでしょう。領土問題がなかったとしても、中国国内の権力闘争や政府批判を かわすための反日パフォーマンスはなくなりません。程度の差こそあれ、今後 も毎年のように「反日」が繰り返されるかもしれません。 ● 楽観や悲観ではなく、冷静にマーケットを見よう けれども、それは必ずしも、中国マーケットの魅力をすべて失うことには繋が りません。このタイミングに性急な判断をすることは禁物ではないでしょうか。 弊社では昨日、中国のテレビと雑誌スタッフ招請ツアーのご一行をお迎えしま した。中国に造詣の深い日本の関係者は、メディアの大騒ぎにも動じることな くツアーの続行を決定しました。中国に関する見識と独自の情報ソースを多く 持っているからこそできる判断だったと思います。 ● インバウンドのポートフォリオの見直し 中国からの団体旅行は可能性も大きいがリスクも大きいということを、2010年 からの3年間で3度も体験しました。このまま中国の団体だけに偏った開拓施策 を続けることはリスクを伴います。個人旅行者の取り込みにさらに力を入れる など、不安定要素を下げる必要性を感じます。 すでに東南アジア方面からの集客に着手されているところも多いと思います。 伸び代は大きいですが、まだそこだけに頼り切ることはできません。韓国や 台湾、香港マーケットの伸びが鈍化していると言われている今 、有事の際に 影響を受けにくい形に姿を変えつつ、中国への取り組みは続けていくことにな るのだと思います。(「日本之窓」阿部道広) =================================== 2 JIMC会員 入会のご案内 =================================== 本コンソーシアムへのご入会をお願いしています。会員特典として、各種 活動への参加(講演会、勉強会等) 及び各種活動の成果(メールマガジン、 各種マーケティングリサーチデータ等)を受けることができます。 詳細はこちら▼ http://www.jimc.gr.jp/join/ =================================== 3 インバウンド媒体パッケージプランのご案内 =================================== 信頼と実績のJIMC正会員企業が発行する人気のインバウンド媒体を特別価格で ご掲載頂けるお得なセット商品を企画致しました。 詳細はこちら▼ http://www.jimc.gr.jp/wp-content/uploads/pdf/adplan_120531.pdf ─────────────────────────────────── 賛助会員の皆様からの情報を随時募集しています。 掲載のご希望は担当・斉藤・伊藤までお知らせ下さい。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ [JIMCニュース] 2012年10月10日発行 第2号 編集・発行 日本インバウンド・メディア・コンソーシアム TEL 03-6804-5861 (インフィニティ・コミュニケーションズ内 斉藤・伊藤) http://www.jimc.gr.jp/ ご意見、ご感想、配信申込・停止などは info@jimc.gr.jp まで、お願いします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ Copyright(C)2012 Japan Inbound Media Consortium. All Rights Reserved.